ミネルバ税理士法人 上田公認会計士事務所

発行:2024-11-11
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年末調整手続きの電子化について

年末調整の時季が近づいてきました。
今回は、年末調整の手続きを電子化した場合の手順、メリットをご紹介します。

年末調整の手続きが電子化された場合の作業は次のような手順です。
①従業員が保険会社等から控除証明書等を電子データで受領
②従業員が国税庁のホームページ等からダウンロードした年末調整控除申告書作成用ソフトウェアに住所・氏名等の基礎項目を入力し、受領した電子データをインポートして年末調整申告書の電子データを作成
③従業員が、年末調整申告データ及び控除証明書等のデータを勤務先に提供
④勤務先が、電子データを給与システム等にインポートして年税額を計算

年末調整の手続きを電子化することにより、次のようなメリットがあります。

従業員のメリット
従業員は、これまでの手書きによる年末調整申告書の記入や控除額の計算などを省略できます。
データでの提出になるため、テレワークの方も書類の郵送が不要になります。
また、書面の控除証明書等を紛失した場合は保険会社等に再発行を依頼する必要がありましたが、電子データで受領しているため、その手間はなくなります。
マイナポータル連携を利用する場合には、複数の控除証明書を一度の処理で取得することもできます。

勤務先のメリット
勤務先は、関係書類の配付や書類の回収を行う必要がなくなり、書類の保管場所も不要になります。
従業員から提供されたデータを利用することにより、控除額の検算や添付書類等の確認が簡素化します。
また、記載誤りや記載内容の再確認などの従業員への問い合わせも減少することが見込めます。

弊社担当者より年末調整のご案内をお送りしています。
現状、紙ベースでの書類の提出をお願いしておりますが従業員の方が電子ベースでの書類を取得されているなどご不明な点がありましたら、担当者にご相談ください。
ご対応よろしくお願い申し上げます。

定額減税の年末調整処理

今年の年末調整は特別?

今年の年末調整については定額減税の処理があるため、普段より手間取ることがあるかもしれません。今年6月から行われた定額減税ですが、年末調整及び確定申告で、再計算を行う人が出てきます。

所得1,000万円以上で同一生計配偶者

本人の所得が1,000万円以上で、同一生計配偶者が居て、なおかつ今年6月からの源泉徴収時に定額減税を受けていない場合は、年末調整で定額減税額を加算して控除することになります。また、年内に新たな扶養親族が増えたのに、定額減税をまだ受けていない場合も同様です。

住宅ローン控除と定額減税の順序

定額減税は6月より行われていますが、年末調整で行う住宅ローン控除とは、計算の順序が逆になります。年末調整時の計算順序は
①税額の算出
②住宅ローン控除で税額を引く
③定額減税で税額を引く
④定額減税を引き切れない場合は、引き切れなかった額を算出する
という流れになります。こうして最終的な定額減税を行った額を「年調減税額」と言い、源泉徴収票の摘要欄に金額が記載される仕組みになっています。

控除外額は後で支給される

 なぜ年末調整でこの作業を行うのかと言うと、定額減税制度は「引き切れない金額が出た場合給付される」という仕組みだからです。引き切れなかった金額は源泉徴収票の摘要欄に「控除外額●円」と記載がされます。この記載がある場合で、令和6年に給付された金額がない場合は、令和7年度にお住まいの自治体から給付が行われます。1万円単位で切り上げて給付が行われるため、通常の定額減税よりもお得になるケースが多いようです。
また、令和5年の所得等の状況からすでに令和6年に給付が行われているケースもあります。令和6年給付の額が実際に給付されるべき金額を下回っている場合は、令和7年度以降残りの額が給付されます。逆に給付された金額が多かったとしても、過給付分の返還は求められないそうです。

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