自社の労働生産性を把握するには
さて、国は国内企業の労働生産性が国際的に低いのでこれを高めようと各種政策を実施していますが、経営者の方は自社の労働生産性をご存知でしょうか。
直近の決算書でこれをざっくり計算することが出来ます。従業員の毎月の給料計算資料に記載された支給人数を1年間足すと年間延べ人数が出ます。売上高÷年間延べ人数=労働者1人あたりの月平均売上高。これを月平均就労日数×8時間で割ると、労働者1人1時間あたりの売上高が出ます。これを年次で比較してみましょう。分子を営業利益にすれば、労働者1人1時間あたりの営業利益が出ます。月次の試算表があれば月次での労働生産性を計算し月次比較することも出来ます。
この値を高くするためにはどうしたらいいのでしょうか。ここからは経営者の出番です。
*労働生産性とは「生産過程における労働の効率のこと。生みだされた生産額を投下した労働の量で割った値、すなわち労働者1人1時間あたりの生産額で示される。」ASCII.jpデジタル用語辞典
「働き方改革実行計画」とは
この度、政府は働き方の見直しを進める「働き方改革実行計画案」を公表しました。長時間労働を罰則付きで規制する事や同一労働同一賃金等の導入が盛り込まれています。政府は今年の国会に関連法の政府案を提出し2019年からの実現を目指しています。その概要を見てみます。
9分野で改革の方向性を明示
①非正規雇用の処遇改善……同一労働同一賃金を導入、非正規雇用労働者の正社員化等キャリアアップの推進
②賃金引き上げと労働生産性向上……最低賃金を年率3%程度引き上げ時給1000円に。賃上げしやすい生産性向上支援等
③長時間労働の是正……罰則付きの残業上限を設定、インターバル規制の導入、健康で働きやすい職場環境作り
④柔軟な働き方がしやすい環境整備、雇用型、非雇用型テレワークの拡大、兼業、副業の推進
⑤子育て、介護等と仕事の両立、障害者就業支援……病気治療、介護、子育てと仕事の両立支援
⑥外国人材の受け入れ……外国人受け入れの環境整備を政府横断で総合的に検討
⑦女性と若者の活躍……学び直しの機会拡大、パートタイマーが就業調整を意識しない環境整備、正社員女性の復職支援
⑧就職、再就職支援……転職者受け入れ企業の支援と職業能力、職場情報の見える化
⑨高齢者の就業促進……65歳以上の継続雇用や定年延長の支援と高齢者のマッチング支援
実行計画の柱
実行計画は多岐にわたっていますが、討議で重要とされたのは非正規労働者の処遇改善や長時間労働是正の事項。長時間労働の是正では残業時間は「原則が月45時間、年間で360時間」、これは今まで通りですが労使協定でも年間720時間までとし、忙しい月は100時間未満までを容認すると言う方針を出しています。
実際にこの計画を実行してゆくには具体的な方策が必要ですが19項目からなる対応策が示されています。
一億総活躍の横断的課題と位置づけられ、平成29年度から平成38年度の10年間で実行するとしています。