人手不足はこれからどうなる?
昨今中小企業の人手不足がさらに厳しくなってきたようです。我々の業界でも、例年8月の税理士試験後に大手簿記学校で就職説明会が開催され、弊事務所も例年ブースを出していました。しかし今年は出店しませんでした。理由はここ2,3年求職者の参加数が減少していたからです。昔から景気が良くなると簿記学校の生徒が減り、不景気になると生徒が増えます。今は好景気ということでしょうか。
この業界に特化した求人サイトでは、一人の求職者に採用側のスカウトが殺到するそうです。弊事務所もこのサイトでスカウトするのですが、一旦面談の約束をした後でのキャンセルが増えました。面談までの間に他に決まってしまうようです。求職者から選んでもらえるような工夫をすることが急務になってきました。
外国人労働力拡大案提言
単純労働にも外国人受け入れか
今後本格化してゆく日本の少子高齢化や人口減少による人手不足解消の為の外国人労働力の受け入れを検討している自民党の「労働力確保に関する特命委員会」では、外国人労働力の受け入れの拡大を提言しています。今までは原則として、大学教員や経営者、高度専門的技術者等を受け入れてきましたが、同委員会では建設従業員の「単純労働者の受け入れも必要に応じて認めるべきだ」として容認し、政策の転換を求めるとしています。
また、日本人と報酬を同じにする等の仕組みについて提言し在留期間を当面「5年間」とするとも言っています。但し、政府内で統一定義の無い「移民」については「入国時に在留期間の制限の無い者」と独自の定義を示し、この問題には踏み込まない方針です。
外国人労働者数過去最高
厚生労働省発表の「外国人雇用状況の届出状況まとめ」(2015年10月現在)によると外国人労働者数は90万7千人台で前年比15.3%と過去最高です。
特に建設業について2014年4月に「建設分野における外国人材の活用」について閣僚会議が行われ、復興事業の加速、2020年の東京オリンピック・パラリンピック等の関連施設整備等の一時的な建設需要の拡大に対応する為、緊急かつ時限的な措置として即戦力となる外国人の活用推進の方針で、平成27年4月から対象となる外国人材の受け入れを開始しました。
労働力不足の解消なるか
今後2020年代には介護分野で25万人、建設分野で77万人から99万人の労働力が不足するとの推計があります。外国人労働力を明確な労働力として受け入れるようになると人数が益々増えると予想されます。今後は外国人労働力を新たな人材として採ってゆくことも検討材料になるかもしれません。法改正の動きに注目しておく事が必要でしょう。