ミネルバ税理士法人 上田公認会計士事務所

発行:2024-09-24
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免税購入品と知りながら行った課税仕入れに係る仕入税額控除の制限

令和6年度税制改正にて、令和6年4月1日以後に輸出物品販売場(免税店)で消費税が免除された物品(免税購入品)であることを“知りながら“、当該物品を仕入れた場合、その仕入れに係る消費税額については、仕入税額控除の適用を受けることができないとされました。

多額・多量の免税購入品の国内での横流しが疑われる事例が多発し、出国時に免税購入品を所持していない外国人旅行者を補足し即時徴収を行っても、その多くが滞納となる状況が発生したため、改正が行われました。

今回の改正では“知りながら“に該当するか否かが重要となります。

該当するか否かは、①横流しを行った買い取り業者とのやり取りの履歴等の事実等、②事実買い取り時の本人確認や物品の数量・頻度等の事実関係等を総合勘案して判断されるようです。

免税購入品であることが疑わしい場合の対応としては以下が考えられます。

1 本人確認等を確実に実施

2 物品の調達先など取引内容を仕入先に確認して記録を残す

3 現金買い取りではなく本人の口座への振り込み対応を行う

4 仕入れそのものを避ける

仕入税額控除ができないことによる想定外の納税が生じないよう仕入れの際はご注意ください。

不明点等ございましたら担当者までご相談ください。

M&A対価の損金算入が
7割から10割に

M&A損失準備金7割損金算入部分

令和6年度税制改正で、中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた中小企業(資本金額1億円以下の法人又は従業員数1000人以下の個人企業、但し大規模法人関連法人等は除外)に適用される、M&A10億円以下株式取得価額の70%以下の中小企業事業再編投資損失準備金積立額の損金算入の制度は、3年間の期間延長とされています。

併存枠の創設とその対象と要件

これと併存する形で、産業競争力強化法の特別事業再編計画の認定を受けた中小企業・中堅企業(従業者数2000人以下企業)が、M&A株式取得価額(1億円以上100億円以下)の90%以下の中小企業事業再編投資損失準備金積立をすると、その額を損金算入出来るとの制度が創設されました。
さらに同じ認定を受けた次の別のM&Aにより株式取得(1億円以上100億円以下)をする場合、その取得価額の100%以下の中小企業事業再編投資損失準備金積立をすると、その全額の損金算入が認容されます。

取崩しに係る従前枠と併存新枠の相違

なお、従前制度の積立額は5年経過後の事業年度から5年間で均等取崩し益金算入ですが、新制度の積立額は10年経過後の事業年度から5年間での均等取崩し益金算入です。

併存新枠適用に必要なM&A過去実績

新創設の併存新枠適用には、過去5年以内にM&Aの実績があることとの条件が改正産業競争力強化法に規定されているので、その要件充足も必要です。それは既存の7割損金算入のM&Aの適用実績に限定されるものではなく、実際のM&Aの経験実績でよく、法律文は「他の事業者の経営の支配又は経営資源の取得を行っていること」となっています。

新たな追加要件も改正項目

それから、M&A損害保険契約を締結している場合は、損金算入制度適用除外であり、事後に当該保険契約を締結した場合は、過去計上の中小企業事業再編投資損失準備金を含め、即座に取崩し、全額益金算入しなければならないことになりました。
過去契約の保険はこの項目の対象外です。

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