従業員数名でも導入できる『はぐくみ企業年金』とは?中小企業に選ばれる理由を解説

はぐくみ企業年金

ミネルバ税理士法人は創業以来33年、品川区五反田の地で中小企業の成長を支えてきました。現在は従業員60名を超え、税務・会計・給与計算・労務サポートなど、企業運営に必要な機能をワンストップで提供しています。

中小企業、とくに従業員数名の小規模企業では、福利厚生の選択肢が限られがちです。給与や働きやすさの整備には力を入れていても、「将来の安心」という観点で制度を整えるのは簡単ではありません。 こうした課題を背景に、いま注目されているのが「はぐくみ企業年金(はぐくみ基金)」です。掛金1,000円から導入でき、会社の規模を問わず利用できる柔軟な仕組みが特徴です。中小零細企業における活用ポイントを紹介します。

はぐくみ企業年金とは

・導入企業の規模感と利用されている業種
はぐくみ企業年金は、もともとは福祉・医療系の事業所のためにスタートした制度ですが、現在では原則として業種を問わず対応しており、全国で幅広い企業が導入しています。特に、従業員30名以下の小規模企業が全体の約65%を占めており、まさに“零細〜中小企業のための制度”として広く利用されていることが特徴です。

業種の偏りも少なく、サービス業・IT業・製造業・建設業・小売業など、多様な企業が加入しています。制度の柔軟性と導入しやすさから、いまでは地域の中小企業が共通して利用する代表的な退職・年金制度として定着しています。

・中小企業が使える「総合型企業年金基金」
はぐくみ企業年金は、総合型企業年金基金と呼ばれる仕組みで、中小企業が共同で利用する退職・年金制度です。特定の業種に縛られず、全国の一般企業が加入できる点が特徴です。

退職金制度の整備が難しい小規模企業でも導入でき、従業員の将来設計をサポートしながら、会社としての福利厚生も強化できます。

・安全性を重視した運用という安心
はぐくみ企業年金は、安全性を重視した運用を前提として設計されている企業年金制度です。企業型確定拠出年金(いわゆる企業型DC)のように、加入者が運用商品を選択し、その結果によって将来の受給額が大きく変動する仕組みではありません。

あらかじめ規約に基づいた給付設計がなされており、資産は安定性を重視した方法で管理・運営されています。そのため、価格変動リスクを積極的に取る制度と比べると、元本割れのリスクが相対的に低く、将来の見通しを立てやすい点が特徴です。

・掛金は1,000円から。小規模企業でも無理なく導入できる
中小企業が社内制度を導入する際に最も気になるのが「負担感」だと思います。 はぐくみ企業年金は掛金が月額1,000円から設定でき、会社負担・従業員負担・折半など、柔軟に設計できます。従業員が少ない会社の場合でも過度なコストをかけずに福利厚生を整備できる可能性があるのが魅力です。

・経営者自身も加入できる
中小企業において、経営者自身の老後の資産形成は後回しになりがちです。 はぐくみ企業年金は、厚生年金に加入している役員・経営者であれば加入でき、「会社として福利厚生を整える」と同時に「経営者の将来の安心」を作る制度としても活用できます。

他制度との違い

・企業型DCとの違い
企業型DCは運用リスクと管理コストが一定程度あります。はぐくみ企業年金は元本保証で制度がシンプルなため、小規模企業でも導入しやすい点が異なります。

・小規模企業共済との違い
小規模企業共済は経営者の退職金としての色合いが強い制度です。はぐくみ企業年金は「経営者+従業員」を対象にできる点が大きな違いです。

・退職金制度との違い
退職金制度は規程づくり・積立方法の決定・資金管理など設計が複雑です。はぐくみ企業年金は制度が標準化されており、スムーズに導入できるメリットがあります。

・iDeCoとの関係
iDeCoと企業年金は併用可能ですが、拠出限度額に影響します。制度設計時には併用の可否と上限の整理に気を付けてください。

中小企業と相性が良い理由

  • ・掛金を調整しやすい(経営状況に合わせて変更可能)
  • ・従業員に長く働いてもらうための「安心材料」になる
  • ・採用において「福利厚生の充実」をアピールできる
  • ・経営者自身の資産形成にもつながる

 

実際に五反田周辺のスタートアップや小規模法人でも、「採用強化」「定着」「社長の老後資産形成」を目的に導入を検討する企業が増えています。

加入者が退職した場合の取り扱いについて

はぐくみ企業年金を導入する際に、経営者の方から特によく聞かれるのが「従業員が退職した場合、この年金はどうなるのか」という点です。結論から言うと、加入者が退職しても、これまで積み立てた企業年金がゼロになることはありません。

一定の加入期間などの支給要件を満たしている場合には、積み立てた年金原資に基づいて「脱退一時金」として受け取ることができます。※支給要件や金額は、加入期間や基金規約により異なります。これは一般的な退職金と同様の位置づけで、退職時にまとめて受け取ることも可能です。

また、退職時点で一時金として受け取らず、将来の年金として受給開始年齢まで据え置く選択肢が用意されているケースもあります。いずれの扱いになるかは、加入期間や規約内容によって異なるため、制度設計の段階で整理しておくことが重要です。

企業側にとっても、退職時に多額の資金を一括で用意する必要がなく、計画的に積み立てていける点は大きなメリットといえます。

はぐくみ企業年金の運営母体について

はぐくみ企業年金は、厚生労働大臣の認可を受けた「福祉はぐくみ企業年金基金」が運営主体となっている企業年金制度です。

福祉はぐくみ企業年金基金は、特定の一企業が独自に運営している制度ではなく、複数の中小企業が共同で加入する総合型企業年金基金として設立されています。制度運営の責任はこの基金が一元的に担っており、法令および基金規約に基づき、厳格なルールのもとで管理・運営されています。

申込みから導入までの流れ

はぐくみ企業年金は、「基金に直接申し込んで、すぐに運用が始まる」という仕組みではありません。実務上は、制度設計 → 申込み → 導入後の運用という段階を踏んで進めていきます。

① まずは制度の内容を理解し、自社に合うかを確認する
最初のステップは、「はぐくみ企業年金が自社に合う制度かどうか」を確認することです。

  • ・従業員数や雇用形態
  • ・会社負担・従業員負担の割合
  • ・毎月いくらまで掛金を出せるか
  • ・他の制度(退職金、iDeCo等)との併用状況

 

② 掛金設計と社内ルール(労使合意)を整理する
次に行うのが、具体的な制度設計です。

  • ・掛金額はいくらにするか(月1,000円〜)
  • ・会社負担か、従業員負担か、併用にするか
  • ・対象となる従業員の範囲

 

企業年金制度は福利厚生制度にあたるため、従業員への説明に加え、就業規則・社内規程の整備や、必要に応じた労使協議など所定の手続きが求められます。この点も、導入時に整理しておく重要なポイントです。

③ 福祉はぐくみ企業年金基金への加入申請
制度設計が固まったら、運営主体である「福祉はぐくみ企業年金基金」への加入申請を行います。

申請は、基金の窓口や制度導入をサポートする専門家を通じて行うのが一般的です。申請書類には、会社情報、対象従業員、掛金内容などを記載します。

書類審査が完了すると、基金への加入が承認され、制度導入の準備が整います。

④ 導入後の運用(会社が行うこと・基金が行うこと)
制度導入後、会社側が日常的に行う実務はそれほど多くありません。

会社が行う主な実務は、
・毎月の掛金を給与計算に反映すること
・掛金を基金へ拠出すること
・入社・退職時の事務手続き

一方で、
・積立金の管理
・資産運用・給付管理(退職時の一時金・年金対応)

といった年金制度そのものの運営は、福祉はぐくみ企業年金基金が責任主体となり、資産管理・運用等は専門機関と連携しながら担います。このため、企業が自ら資産運用を行ったり、将来の給付資金を個別に管理したりする必要はありません。

⑤ 導入後も状況に応じて見直しが可能
はぐくみ企業年金は、一度導入したら固定される制度ではありません。

  • ・業績に応じて掛金額を見直す
  • ・従業員数の増減に合わせて対象者を調整する

 

といった対応も、規約の範囲内で、所定の変更手続きにより可能です。会社の成長段階に合わせて柔軟に運用できる点も、中小企業にとって大きなメリットといえます。

はぐくみ企業年金は、従業員数名の小規模企業でも導入できる柔軟な退職・年金制度です。元本保証・掛金1,000円からの導入・経営者も加入できるなど、中小企業にとってバランスの良い制度といえます。

「この規模で福利厚生を整えられるのか」「従業員の将来不安を少しでも軽くしたい」「経営者として自分の老後資産も作りたい」そう考える企業にとって、はぐくみ企業年金は現実的で効果的な選択肢です。

税務会計だけでなく、資金繰り・福利厚生充実の観点からこうした相談もありましたので整理させていただきました。お困りごとがありましたら、お気軽にご相談ください。

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