税務調査がオンラインになると変わること|調査の流れやツール、メリット・デメリット
発行: 2025.12.18
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これまで対面のみの税務調査でしたが、オンラインツールを活用したWeb上の税務調査が実施されるようになります。金沢・福岡国税局の管轄税務署では令和7年10月から、それ以外の税務署等では、令和8年3月から順次利用できるようになります。
これまで対面だった税務調査がオンライン化されると聞いて、『具体的な流れや準備』に不安を感じていませんか?
この記事ではオンライン調査の導入によって変わることをご紹介いたします。
・オンラインで行った場合の税務調査の流れ
・オンラインツールを活用する上での注意点
・オンライン調査のメリットとデメリット
オンラインによる税務調査は利便性の向上と、行政の効率化を図るために導入されます。
しかし、これは税務署の担当者と対象会社との合意で行うことになるため、必ずしもオンラインでやらなければならないということはありません。
利用するオンラインツール
それでは、まずインターネット上で調査を行うにあたって、どのようなツールを利用するのか確認します。

・メール
国税局・税務署職員への連絡で利用します。
・Prime Drive(ソフトバンク提供)
オンラインで書類データ等を共有できるシステムです。やり取りする量の多い場合に利用します。
※事前に登録したメールにドライブのアクセスURLが送付されます。
・Microsoft Teams(Microsoft提供)
ウェブ上での打ち合わせで会議を行うのに活用します。
※スマホやタグレットを利用する際は、事前にアプリのダウンロードが必要
※録音・録画、チャット、文字起こし、ホワイトボード機能は使用禁止
・Microsoft Form「オンラインツールに関する同意事項」をMicrosoft Formで回答します。令和7年10月に既に実施をしている金沢国税局管轄の富山税務署ではこのようなフォームになっています。

オンラインでの税務調査の流れ

対面からオンライン調査に変わり、どのような対応が必要になるのかをまとめてみました。
オンライン調査になったことによって、追加で行う事項にマーカーを引いています。
①事前通知・同意事項への同意
税務署から調査の目的や対象の税目、期間などの通知があります。
政務調査をオンラインで行いたい場合は、 「オンラインツールの利用に関する同意事項」に同意し、連絡先を登録します。
②日程の確定
税務署の調査官と税務調査を実施する日程を決めます。
③メール送受信・本人確認
オンラインツールの利用に同意した後、テストメール送受信の確認を行います。メール利用者が本人かどうかを確認するために、メールの送受信は電話もしくは対面で行います。
④ツールへのアクセス権限付与
会議で利用するMicrosoft Teamsや情報の共有に利用するPrime DriveへアクセスができるURLがメールで連絡があります。
⑤帳簿などをまとめる
総勘定元帳や決算書、仕訳帳、領収書などの調査に必要なデータをまとめ、税務署の調査官に確認した上で、メールやDriveで資料を送りましょう。
⑥税務調査
税務署の担当者が帳簿等を確認します。帳簿等に対する質問や指摘事項に対し、真摯に対応するようにしましょう!
リモート調査の注意点
対面で税務調査を受けた方にとっても、これからオンライン調査を受ける方にとっても把握しておきたいことをご紹介します。
・メールアドレスの準備
最近では、普段LINEなどのツールを使っており、メールアドレスを持っていない方が増えてきています。しかし、調査の際、税務署とのやり取りはメールで行います。慌てることのないよう、事前に設定しておきましょう。
・税理士や税理士法人へ会計や税務を依頼している場合
税理士や税理士法人へ会計や税務を依頼している場合は、税理士や税理士法人だけでなく、調査対象者も「オンラインツールの利用に関する同意事項」入力が必要です。
・対面の調査になる場合もある
事前のオンラインツール活用の同意を行ったとしても、税務署担当者の判断で対面に変わる場合もあります。
・登録フォーマットの選択
オンラインツール活用の同意フォーマットは税務署・国税局ごとに分かれています。管轄の税務署のフォーマットへ記入するようにしましょう!
オンライン調査のメリットとデメリット
デジタルツールを利用した調査で、一体何が変わるのでしょうか?こちらではメリットとデメリットを確認します。
メリット
・対応時間が短縮
対面の調査では、調査担当者の来訪の対応や、調査を実施する場所への移動等に時間がかかりますが、オンライン上でのやり取りになるため、それらの負担がなくなります。/p>
・対面よりもストレスや緊張がなくなる
調査時は、情報漏洩に気を付けなければなりませんが、ある程度場所を気にする必要がなく、使い慣れたスマホやPC利用できるため、比較的リラックスした状態で調査を受けることができます。
・スペースを考えなくて良い
調査を受ける場所や大量の帳簿や領収書等の書類をまとめておくスペースの確保に悩む必要がなくなります。
・税理士に依頼している場合は、調整が容易に
近年、税理士に依頼する多くの方は業界の詳しさや専門性を考慮して、税理士を選んでいます。そのため、税理士と自社との物理的な距離が遠い場合もあります。対面での税務調査では、税理士の立ち合いが難しいですが、オンラインだと遠くても立ち合いできます。業界の知見が豊富な税理士と一緒に調査へ臨めるので、安心ですね。
デメリット
・コミュニケーションが取りづらくなる可能性がある
オンラインツールの特性でもありますが、画面を通してのやり取りになるため、相手の意図が対面の時よりも把握しにくくなってしまいます。
・インターネット環境の準備に時間と費用がかかる
オンラインで税務調査を行うには、インターネット環境の構築が必須になります。環境を1から整えるとなると、様々な会社のサービスを調べ、契約し設定するため、時間と費用が発生します。
また、電波が悪かったり、ラグ(遅延)が発生したりすると、スムーズに意思疎通ができなくなってしまいます。
出典:国税庁(税務行政におけるオンラインツールの利用について)
いかがでしたでしょうか。
今後オンラインの税務調査を受ける際に、是非参考にしていただけますと幸いです。
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