スポーツマンシップにのっとった節税
この記事の目次
スポーツ選手・アスリート必見!
スポーツ選手の活動に大きく関係する「税金」について、現役アスリート税務アドバイザーの寺岡が解説します。
スポ税:スポーツ税務会計ブログ記念すべき第1回では、スポーツマンシップに則った節税についてお話します。
まず、このブログを読んでいるあなたはいずれかのスポーツのプロ又はアマチュアの現役選手、コーチ、インストラクターではないでしょうか。もしくは選手を目指している方だったり、現役引退直後で事業を始めようと検討している方かもしれません。
そして皆さん、最近税金について悩み、税金の仕組みや、節税に良い方法はないかと考えたことのある方でしょう。
税金の仕組み
スポーツ選手にとってもっとも身近な税金は、「所得税」です。
所得税は、確定申告で申告した1年間の所得(利益)の額に所得税率を掛け算することによって計算されます。所得の額は「収入」―「経費」―「控除」=「所得(利益)」となります。
所得税率は累進課税のため、収入が多いほど税率が高くなります。
スポーツ選手と税金
プロではないアマチュアや兼業のスポーツ選手の収入はそれほど多くありません。一般的なサラリーマンと同じか低いくらいの方もいるでしょう。その中で選手としての活動費を捻出し、競技を続けることは並大抵の覚悟と熱意ではできないと思います。
少しでも活動費に回せるお金を増やすために税法に従った「正当な節税」を行うことが効果的です。
正当な節税
正当な節税とは、事業(選手活動)に関連するお金の流れを把握し、「収入」と「経費」を正しく計上することです。
スポーツと同様に税金の計算方法にもルールがあります。ルールの範囲内で利益を少なくするために最善を尽くすことで節税につなげることができます。
プロ・アマ問わず、会社員ではないスポーツ選手は毎年3月15日までに前年分の収入について国に申告する「確定申告」が必要なことについては既にご存知かと思います。
この確定申告のとき、すべての「収入」と「経費」を正しく計算することができている自信はありますか?
「収入」を正しく計上する
例えば、典型的な脱税方法として、一部の「収入」について確定申告の際に申告しないという方法があります。税務調査で「収入」の計算に漏れがあったことは判明した場合、収入金額を少なく申告したとして、「過少申告加算税」や「重加算税」を払うことになります。さらに、申告しなかった収入について申告が遅れたことになるので「延滞税」を払わなければなりません。
脱税目的ではなく、ただ単純に収入になると思っていなかったものでも同様のペナルティがあります。税務署は税金の回収にはうるさいのです。
「経費」を正しく計上する
一方、すべての「経費」を正しく計上することで利益を減らすことができ、結果的に税負担を減らすことができるようになります。
領収書を集めて、集計するのは大変手間がかかる作業であり、面倒くさいものです。さらに、会計は専門的な知識が必要な分野なので「経費計上していい支出がわからない」場合も多いです。これはスポーツ選手に限らず、会社を設立したばかりの経営者や副業をしている方、小規模なフリーランスの方も同様です。
しかし、経費の計上漏れがあったとしても税務署はアドバイスしてくれません。税務署としては回収できる税金が多いほうが良いので、わざわざ納税額が減るような指摘はしないのです。
スポーツ選手が収入と経費を正しく把握する方法
スポーツ選手が確定申告で申告すべき収入と経費を正しく把握するためには次のようなことに取り組むと良いでしょう。
・個人と選手活動費で銀行口座を分ける
→ プライベートと事業を区分することで、いくら収入があったのか、いくら支出があったのかを客観的に見ることができるようになります。
・クラウド会計ソフトを利用して自分で記帳する
→ 確定申告の直前に慌てて領収書を数えるよりも、毎月コツコツと計算をする方が経費の計上漏れを防ぐことができます。
・税理士に依頼する
→ 自分でやるのは面倒、手間がかかる、大変と思う方は税理士に依頼するのも良いでしょう。個人事業主の場合は、月額1万円程度で、青色申告ができるため65万円の控除を受けることも可能になります。
ミネルバ税理士法人では、月額1万円×12カ月+確定申告料8万円=年間20万円で税理士に税務・会計について丸投げすることができます。もちろん支払った費用は経費計上可能なので20万円+65万円=85万円の利益削減つまり節税が可能です。
終わりに:スポーツ選手と税金の距離感
スポーツ選手やフリーランスの方とお話すると、「なんでもかんでも経費にしちゃえ!」という考えの方が多い印象です。この考え方は非常にリスクが高いです。
「すべての経費を正しく計上することで利益を減らすことができ、結果的に税負担を減らすことができる」と書きましたが、あくまでも「正しく」計上することが重要です。
税務調査の際に「これは経費ではない」と認定されてしまうと(経費否認と言います)、結局収入の未計上と同じく、不当に利益を少なく申告しているとしてペナルティの対象となります。
過去の事例でもスポーツ選手が脱税で処分を受けた事件がいくつもあります。
選手活動を効率よく行うため、競技の発展のため、「ずる」ではなく「正しく」節税を意識することが大切です。
私も、スポーツマンシップにのっとり、正しく収入と経費を計算することで、より効率的に選手活動に集中できる環境を整えるお手伝いをしていきたいですね。
第2回では、「スポーツ選手が税理士に依頼するメリット・デメリットについて」ご紹介します。
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現役アスリート税務アドバイザー 寺岡瑠里
北海道大学大学院出身。「武術太極拳」の現役選手。競技では2026年アジア競技大会日本代表・メダル獲得を目指しながら、デュアルキャリアアスリートとして、ミネルバ税理士法人に勤務。税務スタッフアドバイザーとしてお客様を担当しながら、スポーツ選手、コーチ、インストラクターのための税務・会計アドバイスを発信中。
将来の夢は、プロアマ問わずスポーツ選手をはじめとした「自分自身でたたかう人」に寄り添う税理士になること
[経歴]
第8回アジアジュニア武術選手権大会 [A組]太極拳6位・太極剣6位
第7回アジアジュニア武術選手権大会 [A組]太極拳5位・太極剣4位
第39回全日本武術太極拳選手権大会[自選難度]太極拳2位
2023年国民体育大会「燃ゆる感動かごしま国体」武術太極拳 成年女子 総合太極拳(自選)北海道代表