ミネルバ税理士法人 上田公認会計士事務所

発行:2025-06-02
ueda-staff

年度更新・算定基礎届について

いつもお世話になっております。
品川区五反田大手のミネルバ税理士法人でございます。


毎年この時期になると、労働保険の年度更新と社会保険の算定基礎届の手続きが必要となります。いずれも従業員の保険料や給付に直結する重要な手続きですので、今回はこれらについて改めてご説明いたします。

【年度更新について】

年度更新は労働保険に関する重要な手続きで、毎年6月1日から7月10日までの期間に実施が必要です。この手続きでは、前年度の労災保険と雇用保険の確定保険料を精算し、同時に当年度の概算保険料を申告・納付します。具体的には、前年4月から3月までの実際の賃金総額に基づいて確定保険料を計算し、当年度の見込み賃金総額から概算保険料を算出して、その差額を調整します。対象となるのは労働保険の適用を受けるすべての事業所で、手続きを怠ると政府による職権決定や追徴金の対象となる可能性があります。

【算定基礎届について】

算定基礎届は社会保険に関する手続きで、厚生年金保険と健康保険の標準報酬月額を決定するために行います。提出期間は毎年7月1日から7月10日までです。この手続きでは、4月、5月、6月の3か月間の報酬月額の平均を算出し、それに基づいて標準報酬月額を決定します。決定された標準報酬月額は、9月から翌年8月まで適用されます。

算定基礎届の対象となるのは、7月1日現在で厚生年金保険・健康保険の被保険者である従業員です。ただし、6月1日以降に入社した者や随時改定の対象者は除外されます。報酬月額の算定では、各月の支払基礎日数が17日以上(短時間労働者は11日以上)である必要があり、基本給だけでなく諸手当も含めて計算します。なお、年3回以下の賞与は除外され、年4回以上支給される賞与は含めることになります。

近年は電子申請の利用が推進されており、24時間申請が可能なほか、添付書類の省略や計算ミスの自動チェック機能などのメリットがあります。また、給与計算システムとの連携により業務効率化を図ることも可能です。

これらの手続きは企業の労務管理において法的義務であり、従業員の社会保険給付にも直接関わる重要な業務です。日頃から正確な賃金管理を行い、計画的な準備により確実に実施することが重要です。不明な点については年金事務所や労働基準監督署、社会保険労務士などの専門家にご相談することをお勧めします。

会社役員・使用人兼
務役員・みなし役員

会社の業務執行者である代表者

取締役は、株式会社を代表します。ただし、代表取締役を定めている場合には、代表取締役のみが会社を代表します。代表取締役には業務を執行する権限があり、また、会社の代表として、契約行為や裁判に関する行為をする権限があります。

役員で使用人は使用人兼務役員

会社法では、取締役(役員)と従業員は明確に区分されています。役員は、株主総会で選任され、会社に対する各種の責任をもちます。でも、役員でありながら、部長、課長その他法人の使用人としての職務に従事する人もいます。こういう人を「使用人兼務役員」といいます。部長、課長等ではなく、専務、常務等の呼称だったとしても、代表権・業務執行権のない者の場合は、呼称のみの名刺専務等といわれ、通達では、使用人兼務役員の対象から外れない、としています。

使用人兼務役員の労働者性要件

役員は株主総会で選ばれて委任契約を結び、雇用契約外の関係なので、本来は、労災保険と雇用保険の適用がありません。ただし、使用人兼務役員の場合は、①役員報酬が労働者としての賃金を上回っていないこと、②代表権・業務執行権を持っていないこと、③就業規則が適用されていること等の条件付きで労災保険・雇用保険の適用を受けられることになっています。

税法で規定するみなし役員

なお、法人税法上の役員はもう少し範囲が広く、会社法上の役員でないのに役員と同じく扱われる「みなし役員」という規定があります。使用人のうち次の①②③のすべてを満たす者などで、法人の経営に従事している者のことです。
①単独で50%超の株主グループ、若しくは第3順位までの持分合計が50%超となる株主グループに属している
②その使用人の所属株主グループの持分割合が10%超
③その使用人(配偶者&同族会社株主を含む)の持分割合が5%超

みなし役員への制約

みなし役員とされた者については次の取扱いを受けることになります。
①給与は定期同額給与に該当
②過大な給与は損金不算入
③事前確定届出以外の賞与は損金不算入
④労災保険・雇用保険の適用対象外が原則


税務、経理でお困りなことがありましたら、お気軽に
品川区五反田のミネルバ税理士法人にご連絡ください。

お問い合わせ
はこちら