「 出戻り社員」現る
以前働いていた企業に再び雇用される、いわゆる「 出戻り社員」が増えつつあると言われています。子育てや親の介護などでいったん退職したが、その後状況が変わりまた元の職場に戻った人達のことだそうです。
事情は異なりますが、弊事務所でも今年「 出戻り社員」が二人。一人はうちから大手上場企業の経理部門に転職したが徹夜で帰宅できないことが続き退職。もう一人は他の会計事務所に転職したが担当者としてお客様を任してもらえず仕事にやりがいを感じないと退職。
この仕事は労働集約型の典型で、経験者として転職すると人手不足もありこのようなハードワークになってしまうことも。また大手企業だから安心と転職しても分業制でやりがいを感じない仕事になってしまうことも。逆に言うと弊事務所はハードワークにならないように社員自ら仕事量を調整することができるようにしています。仕事もやりがいを感じてもらえるように自主性を尊重し任せてやってもらうようにしています。その辺りが外に出てみてよくわかったようです。
民事調停手続の利用
民事調停は最も身近な裁判手続
取引先や顧客との間でトラブルが生じたとき、まずは話し合いで穏便かつ早期に解決することが最良の方法です。もっとも、当事者のみの話し合いでは、話が前進しないこともあるでしょう。当事者間では、つい感情的になったり、客観的な視点を持てずに適切な解決内容を見失ってしまったりすることがあるためです。
そのようなとき、信頼に足る第三者が入って話し合いを進める制度の一つとして、身近に利用できる「民事調停」という裁判所の手続があります。
裁判所の手続といっても、訴訟のように当事者が主張や証拠を出し合って裁判所が最終的な判決を下す、というものではありません。裁判官1名と調停委員2名が当事者の間に入り、事案に応じた円滑な解決を目指して話し合いを進める柔軟な手続です。
実際の申立方法や審理の内容
民事調停の申立てを行うには、申立書を作成して簡易裁判所に提出します。申立書の内容も複雑なものではありません。現在、裁判所のホームページに申立書の書式が掲載されていますので、これに記入する形で簡単に申立書が作れます。
申立費用も訴訟に比べて安価ですし、法廷で公開されるものではありませんので、第三者に知られたくない情報も安心して話すことができます。また、裁判と言えば弁護士を思い浮かべるかもしれませんが、話し合いによる解決制度ですので、弁護士に依頼せず本人のみでの対応が十分可能です。
調停委員会の許可を得れば、従業員でも代理人になることができるため、代表取締役本人が出席しなくても良いというのも民事調停のメリットです。
調停成立の効果
話し合いがまとまり、合意に達した場合には、合意内容を記載した調停調書という書面が作成されます。調停調書は確定判決と同様の効果が得られますので、相手方が調停調書に記載された債務を履行しなかった場合には、強制執行が可能となります。
他方で、民事調停が不成立となった場合にも、大きなデメリットはありません。その場合には、話し合いによる解決は諦め、訴訟をするか否かを検討すればよいのです。