ミネルバ税理士法人 上田公認会計士事務所

発行:2024-10-07
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インボイス制度開始から1年経過しました

10月に入りました。
令和5年10月1日にインボイス制度が開始してから1年が経過しました。

今回は、インボイス制度について多く寄せられるご質問のひとつを紹介いたします。

Q.当社は、役務の提供に当たり、予約サイトを通じて予約や代金の精算を行っています。この際、予約サイトから購入者にインボイスを交付してもらっていますが、実際の役務の提供に際し、顧客から当社に対してインボイスの交付を求められました。この場合、当社は改めてインボイスを交付しなければならないのでしょうか。

A.予約サイトがインボイスを交付したのであれば、その時点でインボイスの交付義務を果たしていますが、ご質問のように、改めて委託者がインボイスを交付することについて、消費税法上妨げられるものではありませんので、顧客の求めに応じて、インボイスを交付することもできます。
(注) 予約サイトの運営者がインボイス発行事業者ではないなどの理由により、インボイスを発行できない場合に、課税事業者である顧客からインボイスの交付を求められた際は、委託者においては、インボイスの交付義務が生じることとなります。

解説
海外の予約サイトでホテルを予約した際に、インボイスが発行されないという実務上の問題が生じていました。
このQ&Aより、海外の予約サイトにてホテルを予約した場合において、ホテル側からインボイスが発行されます。
インボイスの保存が必要な方で、海外の予約サイトでホテルを予約した方は、ホテル側からインボイスを受領するようにしましょう。

インボイス制度開始後、事業者からは、事務負担が増加したというお声をききます。
事務負担軽減について、ご興味にある方は、弊社担当者へご連絡ください。

「フリーランス・事業者間取引
適正化等法」が施行されます

「フリーランス」と「発注事業者」

令和6年11月1日に施行される「フリーランス・事業者間取引適正化等法」の目的は、以下の2点とされています。
① フリーランスと発注事業者間における取引の適正化
② フリーランスの就業環境の整備
法律における「フリーランス」と「発注事業者」の定義は、以下の通りです。
フリーランス 業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないもの
発注事業者 フリーランスに業務委託する事業者で、従業員を使用するもの
従って、従業員を使用しているフリーランスや、消費者相手に取引するフリーランスは、この法律では対象外となります。

発注事業者のフリーランスに対する義務

フリーランスに対する下請保護の性格が強いのですが、この法律によって、発注事業者がフリーランスに対して以下の義務が生じることになります。下請法と異なり、発注事業者に資本金などの区分はないため、注意が必要です。

義務項目具体的な内容
取引条件の明示取引条件を直ちに書面等により明示すること
期日内支払60日以内の期日内支払
禁止行為 ※1か月以上の業務委託に限る〇受領拒否〇報酬減額〇返品 〇買いたたき 〇購入・利用強制 〇不当な経済上の利益提供の要請 〇不当な給付内容の変更・やり直し
募集の表示虚偽や誤解与える表示の禁止など
育児介護への配慮6か月以上の業務委託の場合、育児介護等へ配慮
ハラスメント対応フリーランスに対するハラスメント防止措置
中途解除の事前予告・理由開示・6か月以上の業務委託は30日前までに予告 ・解除理由の開示義務

なお、業務委託契約であっても、実態が雇用の場合、「労働者」として保護されます。

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