ミネルバ税理士法人 上田公認会計士事務所

発行:2024-08-13
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上場株式の税金について

最近、日経平均株価が大きく変動しており、ニュースになっています。
2024年1月1日から新NISAが始まったこともあり、株価の変動に一喜一憂している方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は上場株式の税金についてご説明したいと思います。

上場株式の税金については主に譲渡益と配当金に課税されます。

譲渡益の課税について
株式売却によって得られる利益のことを「譲渡益」といいます。この譲渡益に対して、原則として、所得税と住民税を合わせて20.315%の税金がかかります。
この課税方法は「申告分離課税」と呼ばれ、他の所得と合算せずに、譲渡益に対して税金が計算されます。

原則として確定申告が必要ですが、特定口座を利用することで、確定申告が不要になる場合もあります。
特定口座は、株式売買にかかる税金の手続きを簡便にするための口座です。大きく分けて以下の2種類があります。

特定口座(源泉徴収あり): 証券会社が売却益から税金を源泉徴収し、納付してくれるため、原則として確定申告は不要です。
特定口座(源泉徴収なし): 自分で確定申告をする必要がありますが、証券会社が年間の取引履歴などをまとめてくれるため、確定申告の手続きが簡略化されます。

また新NISAを利用すれば一定の額まで譲渡益が非課税です。

株式譲渡損が生じた場合には、配当金と損益通算をすることができ、損益通算してもなお控除しきれない損失の金額については、その年分の翌年以後3年間にわたり、上場株式の譲渡益及び配当金から控除することができます。
この適用を受けるためには確定申告が必要です。また新NISA口座で生じた譲渡損については適用できません。

配当金への課税について
上場株式における配当金は、所得税と住民税を合わせて20.315%の税率で源泉徴収されます。そのため、原則として確定申告は不要です。
但し総合課税による確定申告をして配当控除の適用を受けたり、前年以前3年内に生じた上場株式の譲渡損失から控除するために申告分離課税による確定申告を行うこともできます。
但し確定申告を行いますと、扶養控除や配偶者控除等の所得判定や国民健康保険等や保育料等の算定にあたり不利になる可能性もありますので注意が必要です。

上場株式の税金は、新NISA・特定口座の利用や、譲渡損失との関係など、複雑な部分がありますので、ご自身の状況に合わせて、弊社担当者や証券会社にご相談されることをおすすめします。

収用等により土地建物を
売った時の特例

憲法で保障されている地上げ?

公共の利益となる事業(公共事業)のために、事業用地の取得が必要となる場合、国や地方自治体等は任意による売買契約により、土地を取得します。ただし、任意買収は権利者である相手の同意が必要ですから、相手がノーと言えば事業が進まなくなってしまいます。
 そのためどうしても土地を取得しなければならない際には、土地収用法という権利者の意思に関わりなく、土地を取得できる制度が設けられています。土地収用法は日本国憲法第29条で「財産権の保障」をする一方で、「私有財産は正当な補償の下に、公共のために用いることができる」という規定を受けて、土地を収用できる要件と手続き、損失の補償などについて定めています。大げさに言うと公共事業の地上げは憲法で保障されているので、これを不服とする場合は憲法改正する必要があります。

税制でも補償されている

土地収用法やその他の法律で収用権が認められている公共事業のために土地建物を売った場合には、課税の特例が用意されています。
①対価補償金等で他の土地建物に買い換えたときは譲渡がなかったものとする特例
売った金額より買い換えた金額が少ない時は、差額を収入金額として譲渡所得の計算を行い、売った金額より買い換えた金額が多い時は、所得税の課税が繰り延べられ、売った年については譲渡所得がなかったものとされます。
②譲渡所得から最高5,000万円までの特別控除を差し引く特例
①と②はどちらかのみの選択適用となっています。
また、代替地を提供した人についても特例が設定されおり、自治体等と用地の提供者、代替地を提供する人の三者で一括契約をした場合には、代替地を譲渡した人については最高1,500万円の特別控除が受けられます。

補償も厚いが問題も多い

補償制度が充実している半面、用地買収には住民の反発も多く、最近もお寺の敷地を横切る幹線道路建設について「計画にかかっていない部分の墓は移転の対象になっておらず、墓全部と本堂合わせて一つの寺という認識がされない」といった問題が報道されています。

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