ミネルバ税理士法人 上田公認会計士事務所

発行:2016-06-06
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不動産買換え・交換の危ない話

ある同業者組合が、かつて景気がいい頃に法人名義で土地を購入しビルを建てました。その後、時は経ちビルは古くなり、売却して現金を株主に分配して会社は清算するかという話になりました。しかし売却すると土地の売却益により多額の納税になります。

ここである業者から提案があり、一旦そのビルをその業者に売却し、その業者が建て替えた賃貸マンションの一部を購入れば、税務上買換えの特例で売却益への課税はないと。この特例について先方の見せた説明資料は大手不動産会社が作成したもので、業者の顧問弁護士及び仲介業者(大手)も間違いないといっていると。

ここで私に本当にそうなのかという相談がありました。調べてみるとこの特例は個人のみで法人への適用はないことがわかりました。先方は税法が個人と法人で異なることを知らなかったようです。気をつけましょう。

 

後を絶たない相続トラブル 親の預金の使い込み
平成27年の成年後見人の不正件数

高齢者の方、中でも認知症になった親御さんの財産管理は、ご親族にとって悩ましい問題です。この問題を解決するために設けられたはずの「成年後見制度」ですが、着服などのトラブルが多いため、平成22年から最高裁が不正件数を調査しています。
成年後見人(親族含む)の不正件数等(最高裁)

件数 被害金額
H23 311件 33.4億円
H24 624件 48.1億円
H25 662件 44.9億円
H26 831件 56.7億円
H27 521件 29.7億円

新聞報道によれば、平成27年の数字は全体数としては、はじめて減少に転じましたが、「専門家」による不正件数が37件(被害金額1.1億円)と過去最高だったそうです。成年後見人の「専門家」の占める割合は65%(H26)と増えていることもあり、由々しき問題です。一方で、それ以外の数字が「親族後見人」の着服であると考えると、これもこれですごい数字です。

子が預金等を使い込んだ場合はどうなる

親族後見人と限らず、子が無断で親の預金を使い込むなど着服をすると、民事上の賠償責任、刑事上の業務横領罪(親族相盗例の適用なし)となるばかりでなく、その着服した金員は、親御さんがその子に対して有する「不当利得返還請求権」(本来の持ち主に返還を求める請求権)として相続税の課税対象となります。たとえ、相続の発生による「混同」により請求権が消滅することとなっても、税金の問題は残ってしまうということになります。

裁判所の法的解決も「不当利得返還請求」

また、このような問題が相続人当事者間で解決できない場合には、遺産分割調停で争う方法と、訴訟(不当利得・不法行為)で争う方法が考えられますが、これについては、家裁では「不当利得返還請求訴訟」により解決すべきとの意向を示しており、「相手方が預金を解約したこと等を認め、今でも一定の額を預かっていることを認めて、そのお金を遺産として分割の対象とすることに同意した場合」には例外的に遺産分割でも取扱うことができるようですが、それに同意しない場合や預かり額に争いがある場合には、この限りではないようです。

 

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