ミネルバ税理士法人 上田公認会計士事務所

発行:2024-07-22
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中小企業賃上げ促進税制について

いつもお世話になっております。
品川区五反田最大手のミネルバ税理士法人でございます。
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企業においては現在、日本政府の施策により、賃上げの促進や従業員の学び直し等の取り組みを促すため、賃上げ促進税制と呼ばれる措置法を設定し、企業の法人税や所得税等を減税することができます。
 ここで令和6年4月以降開始事業年度(令和7年3月決算期以降)の、中小企業における賃上げ促進税制の概要について確認いたします。

1. 従前からの改正点
 ① 上乗せ要件である教育訓練費の前年度比増加要件が、10%⇒5%に緩和
 ② 新たな上乗せ要件として、くるみん認定、えるぼし認定の取得を追加
 ③ 控除しきれなかった税額が5年間繰越控除可能となる、繰越控除措置を追加

2. 控除額
 下記の要件に該当する場合、総給与等支給額(親族等への支払いを除く)の増加額に、各要件で定められた税額控除率を乗じた金額を控除することができます。(法人税額等の20%が限度)
 中小企業に関しては、給与の総額を前年度比1.5%以上増加させれば適用となるため、比較的容易に控除を受けることが可能です。
① 基本控除要件
 a. 総給与等支給額の前年度比+1.5%以上 ⇒増加額の15%控除
 b. 総給与等支給額の前年度比+2.5%以上 ⇒増加額の30%控除
② 上乗せ要件A
 教育訓練費の前年度比+5%以上 ⇒①に10%加算
③ 上乗せ要件B
 くるみん認定もしくは、えるぼし認定(二段階目)以上 ⇒①・②に5%加算

3. くるみん認定、えるぼし認定について
 賃上げ促進税制に関しては数年ごとに改正がございます。上記にも記載しましたが、今回の大きな改正内容として、くるみん認定、えるぼし認定の取得が追加されました。
 この認定を適用事業年度内に厚生労働省より受けている場合に限り、賃上げ促進税制の上乗せ要件Bを適用することができます。
こちらの取得に関しては、行動計画の策定・実施などの要件があるため、社会保険労務士等からの支援を受けることを推奨いたします。

・くるみん認定
 労働者の仕事や子育てに関し、企業の自発的な次世代育成支援を行っている場合に取得可能
・えるぼし認定
 女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況が優良である場合に取得可能

 今回ご紹介した賃上げ促進税制に関し、上乗せ要件を適用するには対象事業年度中に認定等を受ける必要がございます。期末では間に合わない可能性があるため、適用に関してはお早めに考える必要があるかもしれません。その際、認定支援等が必要であれば、提携の社会保険労務士をご紹介させていただきます。ご不明点があれば担当者までお問い合わせください。

「定額」ではないケース
住民税の定額減税

定額減税の厄介なケース

2024年6月から始まった定額減税ですが、合計所得金額が1,805万円超である場合は減税対象とならないのに、所得税部分については月の給与から減額され、確定申告もしくは年末調整でその減額分を調整する等、厄介な処理が存在し、経理担当者の頭を悩ませているのではないでしょうか。
 厄介な処理の1つが本人の合計所得金額が1,000万円超の「控除対象配偶者以外の同一生計配偶者」です。この配偶者は今までの税制上、「控除にはならないので申告の必要なし」と扱われていたため、勤務先へ年末調整時に出す「扶養控除等申告書」に記載する必要がなく、勤務先が役所に提出する「給与支払報告書」等にも記載がないため、令和6年6月から課税される住民税の定額減税の計算に入りません。勤務先は今年中にその情報を記載した書面を従業員に出してもらい、令和7年6月からの住民税で減税を行うことになります。

2年連続で受けられる人と受けられない人

この「控除対象配偶者以外の同一生計配偶者」ですが、定額減税を受けられるか否かの判定は「令和6年中の状態」で見ることになっています。
例1:令和5年の合計所得が1,000万円以下で、令和6年の合計所得が1,000万円超である人に同一生計配偶者が居る場合
この方の場合は、令和6年6月からの住民税の定額減税1万円が受けられる上に、令和7年6月からの住民税の定額減税1万円も受けられます。逆に、
例2:令和5年の合計所得が1,000万円超で、令和6年の合計所得が1,000万円以下である人に同一生計配偶者が居る場合
この方の場合は、令和6年6月からの住民税の定額減税は受けられず、令和7年6月からの住民税の定額減税も、「控除対象配偶者以外の同一生計配偶者ではない」ため受けられません。つまり、年の合計所得によっては2万円の減税差が生まれることになります。

「定額」ではない減税

政策において重視された点が「スピード感を持った減税を行う」というもので、結果細かいところではありますが、齟齬が出ています。コロナ禍に行った実績のある給付の方が民間の事務的作業等を考慮すると容易だったのではないでしょうか。

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