ミネルバ税理士法人 上田公認会計士事務所

発行:2024-08-19
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企業版ふるさと納税の特別措置は令和7年3月まで

企業版のふるさと納税があることはご存知でしょうか。

寄付金額の下限が10万円であることや、返礼品はもらえないなど、個人のふるさと納税と異なる部分もありますが、寄付を通じて社会貢献・SDGsの達成をすることができます。
自治体によっては公式HPに企業名を掲載してもらえる特典があるなど、認知度アップにもつながります。
また、寄付先の自治体との新たな関係構築ができ、事業展開の機会にもなります。

企業版ふるさと納税の流れとしては、
①寄付先(自治体・プロジェクト)を決める。
②申し込みをし、寄付を行う。
③自治体からお礼の連絡が来るので、選択した寄付特典
(経済的見返りのないが企業として価値のあるもの)の今後の進め方などを話し合う。
④受領証明書を受け取る。
⑤青色申告で税務署に提出し、税額控除を受ける。

となっています。

節税効果については、青色申告をしている法人であれば最大で寄付金額の9割分の軽減が見込めるため、自己負担割合は最小で1割と言われています。
寄付金額の約3割は損金算入、6割は税額控除に利用することができます。

この6割の税額控除の適用ができるのが令和7年3月までとされています。

ですので、この機会にご検討されてみてはいかがでしょうか。

雇用保険法等の改正
~週10時間以上で加入へ~

雇用保険法等の改正案が成立

令和6年5月10日に、雇用保険等の一部改正案が、国会で成立しました。
 主な改正内容は、下記の通りです。
・「雇用保険の適用拡大」
週所定労働時間20時間以上から10時間以上へ対象拡大(令和10年10月以降)。
・「教育訓練やリ・スキリング支援の充実」
自己都合退職であっても、一定の教育訓練を受ける場合は給付制限が解除され、失業給付がすぐに受けられるようになるなど(令和7年4月以降)。
・「育児休業給付に関する財政運営の確保」
国庫負担の暫定的引き下げ措置を廃止(令和6年5月17日公布以降)。
・「その他雇用保険制度の見直し」
 雇止め離職者の給付日数特例措置の延長、就業手当の廃止、就業促進定着手当の上限支給残日数引き下げなど(令和7年4月以降)。

週所定労働時間10時間以上で加入義務

今回の法改正で、実務で最も留意すべきことは、雇用保険加入要件の週所定労働時間が20時間から10時間に引き下げられ、雇用保険の加入対象が拡大することです。
現行の雇用保険加入要件は、①週所定労働時間20時間以上、②雇用期間31日以上、③昼間の学生ではない、これら3要件全てを満たすこととされています(今回の改正で②と③は変更なし)。
適用拡大は令和10年10月からですが、厚生労働省によると、令和5年度の「週10時間以上20時間未満の労働者」は506万人でしたので、雇用保険被保険者が約500万人程度増加することが見込まれます。

「自己都合退職」が増えるかも?

来年4月以降、自己都合退職者が一定の教育訓練を受ける場合に給付制限が解除されることに加え、通達改正により、自己都合離職者の給付制限は特例の2か月から1か月に短縮されます(5年間で3回目以降の自己都合退職は原則の3か月のまま)。
失業給付の受給開始が前倒しとなるため、失業給付を早期に受けやすくなります。
人手不足で売手市場といわれる昨今ですが、例えば職場に不満がある従業員による自己都合退職が来年4月以降急増するかもしれません。

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