「私権は、公共の福祉に適合しなければならない。」民法第1条第1項
たまたま民法第1条をみる機会がありました。短い文章ではありますが、なるほどと考えさせられました。例えば歩きスマホをしている人が駅のホームの向こうからこちらに歩いてきます。こちらはその人とぶつかってしまわないように避けなければなりません。避け方を間違えるとホームから線路に落ちてしまうかもしれません。道路だと車にはねられるかもしれません。
スマホを使うのは私権、しかし公の場でこれをやると周りの人々に迷惑をかけることがあり、これは公共の福祉に適合していないということになります。私権は公の場では制限されているということを改めて再認識しました。
株主リストの添付が義務化
登記悪用の違法行為が後を絶たず
株主総会議事録を偽造して、役員になりすまして役員変更登記をしたり、本人承諾のない取締役就任登記をしたりして、会社財産を処分するなど、法人登記を悪用した犯罪や違法行為が後を絶たないようです。
それで、本年10月1日からの法人登記に際しては、「株主リスト」の添付が要求されるようになりました。
商業登記規則等の改正により
株式会社・投資法人・特定目的会社の登記の申請では、
(1) 登記すべき事項につき株主全員の同意(種類株主全員の同意)を要する場合
(2) 登記すべき事項につき株主総会の決議(種類株主総会の決議)を要する場合
には、株主リスト提出が要件とされました。株主総会決議を省略する場合にも株主リストの添付は必要です。
株主リストの記載事項
添付株主リストには、議決権数上位10名以上又は議決権割合合計が3分の2以上の株主に係る次の事項を記載します。
①株主の氏名又は名称
②住所
③株式数
④議決権数
⑤議決権数割合
⑥以上に関する代表者の証明
(ただし、全株主同意を要する登記では、⑤は不要です。)
本年10月1日前の株主総会であっても、その日以降の登記申請では、株主リストの添付が必要です。種類株式発行会社の場合は、上記③は、「種類株式の種類及び数」となります。
別表(二)を代用できる
法務省のホームページでは、株主リストの書式例・記載例を公表するとともに、企業側の負担を考慮し、同族会社等判定明細書(A)や有価証券報告書の「大株主の状況の欄」(B)などの既存書類を利用できるとしています。(A)というのは、法人税申告書の別表(二)のことです。上記①~⑤の記載が完全で、そこに代表者の証明がなされれば、要件を具備した書面になります。
なお、3分の2以上要件の判定に同族関係者の保有株式の合計が必要ですが、別表(二)は同族グループ毎に付番することになっているので、そのままで判定要件具備のようです。